(1)用法 |
「用法」は、薬の服用時期・回数、外用薬では、使用部位・塗り方などを、 「用量」は、1回量・1日量などを記載しています。
薬を効果的に服用するためには、用法・用量、注意事項などを守り服用することが何より大切です。決められた服用量や服用回数は薬が有効に働く条件なので必ず守りましょう。
内服薬の用法は一般に、 「食前」「食後」「食間」などのように、食事の時間を基準に決められている場合が多くみられます。
これらは、食事を中心にすることで、飲み忘れを防いだり、服用間隔をほぼ一定に保つことが期待できるためです。
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1. 朝 起床時 |
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朝起きてすぐに服用することです。
少し前からよく処方される骨粗鬆症の薬です。この種類の薬剤をビスフォネート製剤といい、この破骨細胞(骨を壊す細胞)による骨吸収を抑制し、骨芽細胞(骨を作る細胞)による骨形成を促進し、骨折を予防する薬です。
この薬のその他の注意として、
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毎朝起床時に水約180ml(多めの水)で薬を飲んで下さい。
服用後30分は横にならないでください。薬が食道をいためることがあります。
薬を服用後30分間は、水以外食事を摂らないで下さい。薬の吸入が大変に悪くなり、薬の効果が減弱します。 |
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2. 食前 |
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食事前およそ30分を目安にして服用することです。
食前は最もよく薬が吸収される状態です。
食前に服用することが望ましい薬の例として胃を刺激して食欲を起こさせる食欲増進剤、吐き気を止める鎮吐剤、吸収されにくい原料 ( 生薬 ) を含む漢方薬や糖尿病で食事による過血糖を予防する目的で使われる糖尿病薬(医師の処方する薬)も一般に食前に服用します。
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3. 食直前 |
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食事をする寸前に服用する薬のことです。
糖尿病の薬で小腸からブドウ糖の吸収を妨げる薬や、薬の効果が現れるまでの時間が大変に速く、すぐに食事を摂らないと低血糖症状などの副作用が考えられる薬です。これらの薬は食事の前に服用しないと薬の価値がなくなりますのでご注意下さい。
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4. 食事中 |
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食事をしている間に服用する薬です。
慢性腎不全の方で人工透析を実施している患者様が服用する薬がこの服用方法にあたります。
この種類の薬は、食事に含まれるリンの消化管内での吸入を阻害し、血液中のリン値の上昇を抑えます。
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5. 食直後 |
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食事の直後に服用します。目安としては、食事が終わってお箸をおいてからすぐ、または食後お茶を飲んでからすぐと理解していただいて結構です。
食事後のリンの吸収を抑える薬などがあります。食直後に服用しないとリンの値が上昇し、人工透析を行っている患者様などは、腎臓に負担がかかりますので、このような薬は食後すぐに服用して下さい。
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6. 食後 |
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食事のおよそ30分後に服用します。これもきちんと30分はかる必要はありません。食後の胃の状態は、消化活動が盛んなため血流がよくなっており、薬の吸収がよくなります。さらに、食後は胃に食べ物が残っているため、薬が胃に直接的に接触することがなく、胃粘膜を荒らすことをさけることができます。
多くの薬は、食後服用です。ただし、飲み忘れやすいようでしたら食事のすぐあと(食直後)でもかまわないことがよくあります。一度、医師や薬剤師に確認してみて下さい。
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7. 食間 |
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食事のおよそ2時間後に服用します。食事の影響をされて吸収が悪くなる薬や胃粘膜に直接的に働く胃薬の一部は、胃内の食べ物のなくなった頃に服用します。
時に・・・ 「食間って食事中のいつに服用するのですか?」とか、 「食事中に服用するとなると、お味噌汁とかスープでも飲んでいいですか?」などの食間を食事中と勘違いしている方がいます。
これは、食中といいます。
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8. 頓服 |
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必要に応じて服用します。正確には、1回飲むだけで効果の得られる薬という意味があります。痛み止めや吐き気止め、下痢止め等一時的に症状を改善します。
ほとんどの薬は一日に飲んでよい最大量が決められているので必ず医師・薬剤師に確認しましょう。また、続けて飲む場合のあける間隔の時間も医師や薬剤師に聞いておくと便利です。
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9. 就寝前 |
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眠る前に飲む薬です。睡眠薬や便秘薬の場合、多くは症状に合わせて自己調節が可能です。しかし、あらかじめ、自己調節して良い薬かどうか医師や薬剤師に確認しておくことをお薦めします。効果があらわれるのに、通常30分ぐらいは必要としますが、睡眠剤や抗 不安薬などは服用したら、床に入って静かにしているのがコツです。 興味のある本などを読むと寝そびれてしまいます。 |
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10. 時間薬 |
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食事の時間に関係なく指示された時間に服用します。持続的な効果を期待する時に1日をある数に分割してその時間に服用したり、検査前など、ある時間に必ず薬の効果を期待したい時、その時間から逆算して服用します。
前者は抗生物質や抗ウィルス薬など、後者は大腸検査の下剤などがあてはまります。
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(2)薬の保管方法 |
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1. いつも決まった場所に保管する |
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薬は、いつも決まった場所に保管するようにしましょう。 |
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1. 光
2. 温度
3. 湿度
を避ける。
薬は、直射日光のような強い光を受けると変質しやすく、温度が高くても薬は変質しやすくなります。湿気が多い場所では、カビが生えたり、水分により変質することさえあります。変質により効果が減弱するだけでなく、有害物質に変質する可能性もあります。冷蔵庫にしまうと、かえって湿気を帯びやすく特別な記載方法がない限り冷蔵庫に保管する必要はないです。
台所や洗面所、お風呂場は避けた方がよさそうです。押し入れ、たんすでは湿気に帯びやすくなる上に入れたことを忘れがちになります。ストーブの前、ガスまわりも避けましょう。
温度変化の少ない冷暗所がベスト、缶や箱に入れて保管するのもなかなかよいです。
しかしながら、保管場所に最適といって普段、目にしないようなところに薬を保管すると、日常的に服用しなければならない薬(血圧の薬など)においては、飲み忘れの原因になります 。
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3. 子供の手の届かないところに保管する。 |
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小さな子供が誤って服用しない様、手の届かないところに保管します。冷蔵庫に保管してある薬は、お菓子と間違えてしまう可能性がありますので注意 (薬の保管三大原則の項参照)
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4. 容器を詰め替えない |
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事故のもとです。詰め替えた本人のみならず、詰め替えた本人以外が誤って服用してしまう恐れがあります。病院の薬を缶などに保管するときは、薬の袋のまま容器に保管するほうがよいでしょう。飲み間違いが少なくなるはずです。
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5. 外の包装は保管しておく |
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病院でもらった薬 の場合には、薬の入っている 袋(薬袋)に飲み方 や保管方法の注意書きがされています。さらに薬を調剤した日付けや調剤した施設の名前や場所、問い合わせ先まで記載されていることがあります。
市販の薬 は、外箱に飲み方だけでなく有効期限が記載されていることもあります。また、説明書も一緒に保管しておくと買い置きしてある薬の場合でも、作用や飲み方、副作用など服用時、 確認しながら服用 できます。半年に一度はご家庭にある市販薬の整理をしましょう。
有効期限の過ぎているもの は、薬が変質している可能でもありますので、もったいないと思わないで思いきって捨てましょう。子供用のシロップ剤や点眼薬、ネブライザー用の吸入薬など水の入った薬の取り扱いには注意しましょう。
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